女性のリウマチ:リウマチの症状と治療

関節リウマチ 妊娠・出産

関節リウマチの患者さんは女性の,しかも30〜50代に多いこともあり,妊娠・出産への影響に悩む人も多いようだ.

この病気を発症し,治療を受けている患者さんでも,お医者さんの指示を守れば妊娠・出産に問題はないと思われる.

一般的な妊娠の条件として,病状が安定していること,腎臓や心臓など内臓に重大な病変がないこと,副作用の考えられる薬を中止することが挙げられる.

妊娠を希望する場合には,胎児への影響(奇形など)を避けるために,原則としてリウマトレックス,イムラン等の抗リウマチ剤は使用できない.

プレドニン,プレドニゾロン等のステロイド剤は胎盤で分解されるため,抗リウマチ剤や非ステロイドの抗炎症剤に比べて,胎児に影響がないとされている.

そのため,ステロイド剤に切り替えての治療が一般的だ.

薬によってはかなり早期から中止しなければならないものもあるので,いつ薬を変更しなければいけないのか,などのタイミングについては早めにお医者さんに相談する必要がある.

妊娠中には免疫の働きが抑制されるため,関節リウマチの症状が軽くなることがある.

しかし産後に悪化する場合が多く,赤ちゃんのお世話に影響する可能性もあるので,家族をはじめ周囲の協力は欠かせません.

ヘルパーを利用するのもいいろう.

また,授乳期間中の服薬についても,母乳を通じて赤ちゃんに影響が出ることもあるので,出産後の治療方針をお医者さんとよく相談してほしい.

女性に多い関節リウマチ

関節リウマチの患者さんのうち,およそ80%が女性だ.

全国で70万人と言われる患者さんのうちの80%だから,女性としては不安をあおられるような数だよね.

なぜ女性に多く発病するのだろうか.

実は関節リウマチに限らず,膠原病の代表格である「全身性エリテマトーデス」などを含む自己免疫疾患の多くが,男性より女性に多くみられるのだ.

その理由については,女性ホルモンと妊娠・出産の影響が指摘されている.

女性ホルモンの中には,プロラクチン(乳腺刺激ホルモン)やエストロゲン(卵胞ホルモン)など自己免疫反応を高める働きをするものがある.

また,妊娠・出産をスムーズにするために,男性より免疫機構が複雑になっている.

例えば妊娠中は,胎児を異物と見なさないようにするため,ステロイドホルモンの産生が増えて免疫の働きが抑制される.

妊娠期間中に関節リウマチの症状が軽くなり,出産後に症状が悪化する事例がよくあるのは,このためだ.

また,出産後に免疫の抑制が解除され,一時的に免疫の働きが高まり,その際に自己免疫疾患が起こりやすいと言われている.

このように,女性ホルモンの性質や,複雑に免疫機構が働く中で,自己免疫疾患が入り込むすきも多くなってしまうのかもしれない.

リウマチ性疾患のなかには関節リウマチと症状のよく似た「痛風」がある.

風が吹いても痛い,と言われるほどの激痛が走る病気だが,こちらは圧倒的に男性に多いそうだ.