リウマチの症状:リウマチの症状と治療

関節リウマチの合併症

慢性関節リウマチは,全身の関節に炎症が起き痛む事が最もつらい病気だが,肺,腎臓,胃,皮膚,神経,貧血などさまざまな内臓に合併症を伴いやすい病気だ.

おもな合併症とその症状には,以下のようなものがある.

●皮下結節…肘や後頭部などの皮下に,大豆ぐらいの大きさの硬いしこり(痛みはない)ができる.

●心膜症…心臓を包む膜(心膜)に炎症が起きます.

●胸膜炎…肺を包む膜(胸膜)に炎症が起きます.

●肺線維症…間質が繊維化して硬くなり,酸素交換が不十分になる.

●上強膜症…結膜が赤く充血する.

●末梢神経炎…手足がしびれる病気だ.

●シェーグレン症候群…涙腺や唾液腺に炎症がおき,涙や唾液が出にくくなる.

●貧血…血液中の赤血球や血色素が減少した状態で,めまいなどを起こする.

中でもリウマチ患者さんは,ほとんどの人が貧血だ.

それは,長い間炎症が続くために体のなかで赤血球をうまく作れなくなっていたり,薬の副作用による胃炎や胃潰瘍があり,少しずつ出血していたりするためだ.

また,関節リウマチの患者さんによく見られる貧血には,血液中の鉄分不足によるものだけでなく,鉄分を吸収する能力が低下するために起こるものがある.

この場合,鉄剤を服用しても,リウマチのために鉄分は体内でうまく利用されず,貧血が続くことが多くなる.

リウマチ自体を上手にコントロールしていくしかない場合もあるのだ.

いずれにしても合併症を早期に発見し治療するため,定期的な診察と検査を受けることが大切だ.

膠原病について

人の体は何億という小さな細胞からできている.

この細胞がばらばらにならないようにつなげる役割をしているのが「膠(にかわ)」つまりコラーゲンというたんぱく質の一種だ.

膠は皮膚,筋肉,骨,軟骨,靭帯・・・とほぼ全身にある.

そして全身の皮膚や筋肉,関節,血管などが侵される病気を,総称して膠原病(膠に原因がある病)と呼ぶようになった.

膠原病には慢性関節リウマチ,全身性エリテマトーデス,強皮症,多発性筋炎・皮膚筋炎,多発動脈炎,リウマチ熱,,シェーグレン症候群,混合性結合織病などがある.

膠原病に共通して見られるのは,原因不明の発熱や湿疹,関節の痛みなどの症状だ.

これらの症状が見られたときは,まず膠原病に特徴的な徴候があるかどうか全身の診察をする.

膠原病に特徴的な徴候とは,脱毛,口内炎,眼や口の中の渇き,手指のしびれ,爪の変形,また冷たい水につけると手足の先が白く変化し,しびれが見られるか,などだ.

全身の診察で膠原病が疑われると,血液検査,レントゲン検査,尿検査などを行ない,確定診断を行ないます.

治療は全般的に副腎皮質ステロイドホルモンによるステロイド治療を行ないます.

その他,関節リウマチに対する抗リウマチ薬や免疫抑制剤のように,膠原病の種類によって特徴的な治療法もある.

それぞれの種類の膠原病に劇的に効果の見られる薬もあるが,副作用もあるため使用法が難しく,専門医の指導が必要だ.

リウマチ熱

よく「リウマチ」と言われているのは関節リウマチのことで,「リウマチ熱」は別の病気だ.

リウマチ熱は,特に関節と心臓に起こる炎症で,連鎖球菌による喉の感染症の合併症として起こるが,感染症ではない.

感染症に対する炎症反応と考えていいだろう.

5〜15才の子どもに多い病気で,男女差はない.

連鎖球菌感染による喉の炎症が治まった2〜3週間後に症状が始まる.

最初によく見られる症状が,関節痛と発熱だ.

1つ,または複数の関節が突然痛み出し,触れると痛みがある.

1つの関節の痛みが治ると,ほかの関節が痛み出する.

関節痛は軽度から重症まであり,普通は2〜4週間続きますが,関節リウマチのように変形にまで進むことはほとんどない.

この他に見られるのは,皮膚の紅斑や皮下結節,舞踏病と呼ばれる手足が自然に動く症状などがある.

また心臓の炎症により生じる胸痛や動悸(どうき)も見られる.

心臓の炎症は約半数に合併する.

治療は,感染症に対する抗生物質類の治療が基本で,心臓や関節の炎症には,抗炎症薬,鎮痛剤を使用する.

過去にリウマチ熱にかかったことのある子どもは,再び喉の連鎖球菌感染にかかるとリウマチ熱にかかる可能性がある.

そのため慢性の場合には,長期間にわたって抗生物質を投与する必要がある.

リウマチ熱を予防するためには,連鎖球菌による喉の感染症を,抗生物質で迅速かつ完全に治療することだ.

血液検査のポイント

関節リウマチの診断にあたっては,「診断基準」のチェックに加えて,触診,エックス線検査,血液検査,尿検査,関節液検査を行ないます.

これらの検査結果により,体内で起きているさまざまな変化や薬の副作用の有無,類似した病気との区別などを知ることができる.

その中の「血液検査」におけるポイントを以下に挙げてみる.

・赤沈…代謝異常や組織の炎症があると赤血球の沈降速度が早くなり,関節リウマチの程度や治療の効果を見ます.

・CRP…体内で炎症が起きたときに血液中に現れる特殊なたんぱく質で,他の膠原病や感染症にかかっている場合も陽性を示する.

・白血球数…薬の副作用によって減少したり,他の感染症や悪性関節リウマチの疑いがある場合に増加することがある.

・赤血球数…病気の進行に伴って貧血症状が進むと値が減少する.

・血色素…非ステロイド抗炎症剤の副作用で,胃潰瘍または十二指腸潰瘍による出血が起きていると値が下がる.

・リウマチ因子(RA検査)…自分自身の成分を敵と見なして免疫異常を起こしてしまう抗体を調べる.

・血清タンパク分画…関節リウマチになると,α2グロブリン,γグロブリンの増加が見られる.

・GOTとGPT…薬の副作用で肝臓に障害が起きると数値が高くなる.

・血清クレアチニン…薬の副作用で腎臓に障害が起きると数値が上昇する.

上記のポイントから,検査結果の意味を理解し,自分の病状がどのような状態なのかを知っておくことが大切だ.

関節リウマチの自覚症状

自覚症状とは,患者さん自身が体験し,認めている症状のことで,診断する際の大切な要素となる.

関節リウマチの患者さんは,どんな症状を体験し,異変を感じているのだろうか.

まず手の指では,第二関節(指先から2番目の関節)と第三関節(指先から3番目の関節)から腫れてくるのがこの病気の特徴だ.

このため,指輪が抜けなくなった,または入らなくなった,という訴えがよく聞かれる.

また物を握る,絞るという動作がしづらくなったり,物を落としやすくもなるようだ.

足では,左右の足の裏と,指の付け根の関節に症状が出やすいようだ.

朝の起床時に立ち上がると,でこぼこ道を歩くような違和感を足の裏に感じたり,指の付け根の関節が腫れて今まで履いていた靴が履けなくなることがある.

また,正座ができなくなったり,長時間座っていると,足がこわばってすぐに立てない,ということもあるようだ.

日本人では膝から病気が始まる割合が多いとも言われている.

また,関節の症状が出る以前に,微熱が続く,食欲が出ない,からだがだるい,体重が減った,いらいらする,顔色が悪い,などの全身にわたる漠然とした自覚症状がみられることがある.

このような前ぶれの症状は,ほとんどの患者さんにあるが,後から思い当たる,という程度の軽いものが多い.

なんとなくこのような前ぶれの症状が続くうちに,気付けば関節のこわばりを感じるようになり,徐々に関節リウマチがその姿をあらわしてくるのだ.

関節リウマチ 関節の異変

ちょっと風邪をひいたときなどに,発熱に伴って体の節々が痛むことがあるね.

このように関節の痛みは珍しい病気ではないが,やはりまず気になるのは「関節リウマチ」だろう.

関節リウマチの場合,異変は手指などの比較的小さな関節から始まる.

最初は,じっとしていれば痛みは激しいわけではない.

物を持つ,関節を動かす,ねじる,などの動作をした時に,漠然とした痛みを感じます.

圧痛(押したり圧迫した時に感じる痛み)があるのも特徴的で,熱感を伴うこともある.

初期では,どちらかというと痛みより「はれ」や「朝のこわばり」が目立つことが多く,左右両方の関節に左右対称にあらわれる.

なぜ,朝に関節がこわばるのか,それは炎症によって,眠っている間に体液がたまり,むくむためと考えられている.

始めはなんとなく動かしづらいのだが,しばらく動かしていると,体液が移動するため,徐々にこわばりは治まり楽に動かせるようになる.

長い時間,椅子に座ったままでいるなど,関節を動かさずに過ごした後にも,同じようなことがみられる.

関節リウマチの場合は,朝のこわばりが1時間以上の長い時間続くことが多い.

関節リウマチの痛みやはれは,いつも持続してあるわけではなく,よくなったり悪くなったりを繰り返し,じわじわと進行する.

「今は痛くないが,以前はあった」というような場合は,そのこともお医者さんに伝えるようにしてほしい.